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税務通信

M&Aにおける労務の問題とポイント

  ※ページ数の関係で一部省略しています。
    1 M&Aが大手企業から中小企業へシフト
    10年ほど前から、大手を中心とした会社の吸収・合併をなど、いわゆるM&Aが活発に行われ、その流れは国際的なものとなり加速しています。 また、ここ数年は中小企業のM&Aも積極的に行われるようになりました。 中小企業がM&Aに至る理由については、後継者の不在による事業の承継先問題が多くありま、経営者の高齢化とともに今後も増加する傾向にあります。 その一方で、業務拡大を狙ったM&Aも急増しているのも事実です。 例えば建設業の会社が内装業の会社を吸収して、現在の事業に関連する分野への更なる展開を図ったり、不動産会社がテナントである飲食店を買収して、新しい分野への進出を狙うなど、業務の拡大による業績のアップを積極的に行なおうとする動きも顕著です。
    いずれにしても、M&Aにおいてはその目的を明確にして、最も効果的な方策を検討することが重要です。

    2 中小企業のためのM&A情報が必要
    M&Aといってもさまざまな形式があり、代表的なものには次が挙げられます。

    1.統合に関するもの・・・吸収合併、新設合併、株式交換、株式移転
    2.買収(株式の取得)にかんするもの・・・
      発行済株式の取得、公開買い付け、MBO(マネジメント・バイ・アウト)
    などさまざまなものがあります。

    業務拡大など、M&Aの目的を達成するためには、適法に手続などを進めていくことが基本であり、関連する法律も、商法、会社法、会社承継法などさまざまものがあります。 また、警備業を行う会社には警備業法、薬の販売会社には薬事法など業種により関連する法律やどのようなM&Aの形式を取るかにより関連する法律は異なります。 そして、M&A後の業務を円滑に進めていくにはどのような方法を取るべきか、方針やスケジュールなどを十分に検討していくことが必要になります。
    一般的に、大手企業では経営戦略や企画を専門に行う部門を持つことが多く、さまざまな角度から検討し、十分な準備をした上でM&Aを実行に移すことが可能です。 しかし中小企業では、人材や資金面の理由から複数の部門を兼務するなど、十分な調査や準備が整わないことが多いのが現状といわざるを得ません。 不十分な調査や準備不足の結果、M&A後に莫大な債務を負うことになり、目的達成どころかM&A前よりも業績が悪化したという失敗例も多くあります。

    3.M&A前の一般的な確認事項
    M&Aでは、該当する会社間などで基本的な内容を検討・決定し、それに基づく契約を締結することから始まります。M&Aの形式など具体的内容を決定する際には、事前の監査事項として次の3点が考えられます。
    (1)法務監査・・・法律的な課題を抱えていないかをチェック
    企業コンプライアンスが叫ばれている現在、違法性の存在はM&Aの大きな障害となります。現在の法的問題やまた、今後の法改正などで事業運営に支障がないかなどのチェックを行ないます。
    (2)財務監査・・・債権および債務や資産価値を評価するなど財政面をチェック
    現在の債権・債務の現状を分析し、資産額や、今後の事業拡大の可能性などについて調べます。
    (3)労務監査・・・会社組織、人事面や労働条件の相違などをチェック
    M&Aにあたり、役員や従業員の承継人数やお互いの労働条件の違いを確認し、いつまでどのようにしていくかなどを決定します。
    具体的な「事前の労務監査事項」について記載します。

    4.事前の労務監査事項とポイント(基本的なものについて順不同)
    現状を掌握し、問題点の洗い出すために、一般的に次の事項について確認します。
    (1)M&Aの目的と基本的な内容の確認
    まず、何を目的として行われるM&Aであり、どのような手法をとることになるかを確認し、基本的な合意内容を基本契約等で確認します。
    (2)会社組織の確認
    (3)就業規則、賃金規定など諸規則の内容の確認と実態の確認
    (4)法定の書類作成・届出等の状況を確認
    (5)社会保険・労働保険の加入や届出状況の確認
    (6)労働債務等の確認 
    (7)労働組合の確認 
    このように、労務に関する事項だけでもさまざまな項目があります。現状を確認する過程で、企業コンプライアンス上問題となる事が見つかった場合には、M&A実行前に解決することが前提になります。問題の解決に時間を要する場合など問題の内容によってはその後になることも多くあります。
    第2回は、「M&A時やM&A後に行なう労務の問題点への対応など」として、労務に関して企業コンプライアンス上問題となる事項やM&Aの当事者である会社間でさまざまな相違点が生じた場合の対応方法について取り上げます。